外壁塗装の下地処理(洗浄作業・補修)で差が出る塗装の仕上がり
職人の仕事環境同様に、実際に塗料を塗る塗装においても、しっかりとした仕事環境=下地環境が必要です。
この環境を作れるか作れないかで最終での塗装の仕上がりや、工事後の塗料の耐久性に至るまで、全ての仕上がりが変わってきます。
塗装のプロである塗装屋にとってこの下地処理は、ある意味【塗り】よりも大切なポイントかもしれません。それだけ塗装の仕上がりを左右する大変重要な工程です。
外壁塗装も化粧と同じで、まずは下地処理が大切
塗装とは家のお化粧と考えて頂けると良いかと思います。化粧で例えると、
- 下地処理の【洗浄】とは【洗顔】にあたり
- 下地処理の【シーリング処理などの補修】が【化粧水や乳液によるケア】
- 【下塗り】や【中塗り】が【ファンデーションなどでのベースメイク】
- 【上塗りとなる仕上材】が【チークやパウダー、アイシャドウ】となります
下地処理の基本である【洗浄作業】について
どんなに評判のよい高級な化粧品であっても、前日の化粧が粉を吹き、皮脂の汚れが残る状態で洗顔もしないまま、化粧の上塗りはしませんよね?これではせっかくの高級な化粧品も台無しです・・。
塗装もこれと同じで、外壁や屋根などにカビやコケなどの頑固な汚れや塗装の劣化部分をまずは綺麗に洗い流す必要があります。
まずは、下地処理の基本のキである、洗浄作業について詳しくご説明させて頂きます。
洗浄作業でキレイな下地を作る
洗浄作業では、長年雨風にさらされ続けチリやホコリの溜まった状態の外壁や屋根の掃除を、水の力を使い行います。カビやコケ、藻などの頑固な汚れや、塗装の密着の妨げになるものも洗い流します。
この洗浄作業をしっかりと行うことで、塗料の性能を最大限発揮できる汚れのないキレイな下地を作りることができます。
洗浄方法の種類
洗浄の種類を大きく4つに分けて説明します。
1.デッキブラシを使って水をかけながら行う洗浄
洗浄機が使えない場合や屋根などに対して、水を流しながらデッキブラシを使い汚れをこすり落としていきます。
デッキブラシはカビやコケ等の頑固な汚れを落とす目的がありますが、チョーキング現象による外壁の劣化箇所をしっかりと把握しながら、丁寧に行わなければなりません。
ですので、知識のない方が執拗に力づくで全てを洗ってしまうのはNGです。
2.水道水を使った高圧洗浄
近年はこの高圧洗浄機を使った洗浄作業が一般的となってきました。家庭用の高圧洗浄機ではケルヒャーが有名ですよね?
高圧洗浄機は一旦バケツやタンクに水を溜め、機械でその水を吸い上げ、更に圧縮をかけてからノズル噴射を行ない、水圧によって汚れを落としていきます。
3.高圧洗浄機を使うトルネード洗浄
トルネードとは大きな竜巻の意味。通常の高圧洗浄機よりも力が強く、ノズルの先端がグルグルと竜巻のように回ることにより、勢いのある水を噴射することができます。
通常の高圧洗浄よりも力が強く勢いがあるため、汚れを確実に落とす効果がありますが、劣化した部分に高圧のトルネードをかけてしまうと、外壁もろとも破損させてしまう恐れもありますので、使用するタイミングや場所、外壁や屋根の状態をしっかりと確認してから使用する必要があります。
4.高圧洗浄機を使用して、特殊な洗浄液を使用するバイオ洗浄
バイオ洗浄とは、カビやコケといった微生物による汚れを広範囲に根こそぎ洗い落とすもの。殺菌消毒効果で、洗浄後の美観の持続効果が高い洗浄方法です。
弊社(塗装のウィング)では、これまで水道水を高圧で吹付けての洗浄が一般的だったのですが、近年はお客様からのご要望や、メーカーの製品開発も進み、このバイオ洗浄を採用しています。
私たちが取り入れているバイオ洗浄は【オリバークリーナー】という製品で、水道水を使った高圧洗浄機では落ちにくい汚れを、バイオの強靭な洗浄力で洗い流し、洗浄後の美観が持続するなど、仕上がりに圧倒的な効果が期待できるのもこの製品の魅力です。
オリバークリーナーは契約上、製品の品質を保つ意味もあり、各地域ごとに1社のみしか取り扱えず、どこの塗装業者でも簡単に扱えるものではありません。弊社でも取り扱いが出来るまで苦労しただけあって、仕上がりの綺麗さから自信を持ってお客様へオススメしています。
バイオクリーナーの実例は下記をご覧ください。
実はとても難しい、塗装の洗浄作業
一言に洗浄といっても、実はこの作業が見た目以上に難しいんです。
下地処理を軽視する塗装会社の場合、この仕事を新人の職人さんに任せがちですが、洗浄作業はとても繊細な作業ですので、実際は知識と経験のある職人が行わなければなりません。
また、家は完全密閉ではないので、窓の状態や家全体の現状を確認した上で、家の中に水が入らない様に注意を払う必要もあります。
恥ずかしい話ですが、実は弊社塗装のウィングでも過去2回、お客様のお宅で洗浄作業中に家の中へ水が入ってしまったことがあります。
サッシ周りや壁のヒビ割れ、換気扇などは、特に水が入りやすいので危険ですし、昔の瓦屋根なども作業的には難易度が高いもの。
私たちはその経験を教訓に、その後ミスが起こらないよう徹底し、お客様の家の構造をしっかりと把握しながら作業を行う様にしています。
屋根や外壁以外にも、サッシや樋の中、場合によっては駐車場のコンクリートや煉瓦の部分など、(もちろんお客様に確認を頂いてからですが)気がついたところは積極的に丁寧に洗浄させて頂いてますので、もし洗浄作業時に、ついでに依頼したい箇所がある場合はお気軽にご相談下さい。
洗浄作業終了後はお客様のチェックも忘れずに
塗装は一度塗ってしまうと、その下にどのような手抜きがされているのか、もはや分からないということをまず理解しておいてください。
塗装業者が洗浄を行った後の段階で、お客様にチェックをして頂くことはほぼないことだと思いますので、「洗浄が終わったら声をかけてください」等、事前に一言頼んでおくのも良いかと思います。
外壁塗装の下地処理【補修作業】について
洗浄作業が終わると、次に外壁の【補修作業】を行ないます。お化粧で例えるところの【化粧水や乳液によるケア】の工程です。
化粧ノリをよくするため、下地そのもののケア(補修)を行ないます。外壁の種類外壁で一般的に使用される素材は、大きく分けると
- サイディングボード
- モルタル
の2種類となります。
まずは、外壁がサイディングボードの場合の下地処理のポイントをご紹介します。
外壁がサイディングボードの場合の下地処理【補修作業】のポイント
モルタルに変わり、近年の住宅に多く使われているサイディングには窯業(ようぎょう)系と金属系があります。
窯業系のサイディングボードはセメント質と繊維質を主な原料にして板状に形成した素材なので、防水効果が落ちてチョーキング現象が出やすいといった傾向があります。
最近では表面加工がしっかりしているものも増えていますが、昔の製品は水に弱いため、防水効果が薄れてくると腐食して崩れやすくなってしまいます。
そうしたサイディングボードの防水効果を再び高める意味でも、外壁塗装が必要なのです。
サイディングボードの下地処理で一番大事なのは、シール工事です
サイディングボードは大きさはまちまちですが、3~5m程度の一定の大きさのボードを貼り合わせ外壁とします。
ボードとボードを貼り合わせる際に、つなぎ目(目地)ができるのですが、このつなぎ目(目地)部分にコーキングというシール材を打ち、ボードを固定させ、雨風による外気や水漏れの侵入を防いでいます。
ボードが大きな一枚だと、どうしてもひび割れ等を起こしやすくなってしまうので、目地を作り、そこで壁にかかる力を和らげることによりサイディングボード自体にひび割れがおきにくくしてるんです。そのため、目地はどうしてもひび割れが起きやすくなってしまう箇所です。
ひび割れが起こった目地に再びシール材を打ち直し、補修することを【シール工事】といいます。
ボードがしっかりしている家ならボードとボードをつなぐシール材はカッターなどで簡単に取れるのですが、外壁に使用している塗料によっては、このシール材が離れにくく、素人が行った場合は、大変手間がかかってしまいます。
シーリング【シール工事】は専門の業者に任せるべきです
足場組みやシート張り同様に、実はこのシール工事にも専門で行う業者がいます。シール工事はそれだけ専門的な技術が必要な、塗装だけでなく家にとっても大変重要な工程なのです。
そういったことからも、餅は餅屋、その場の塗装工事のことだけ考えるのではなく、工事後の家全体の質(価値)も考えるのであれば、シール工事は新築のお家の仕事も数多くされているシーリング専門の業者に任せるのが一番であると考えます。
もちろん弊社(塗装のウィング)では、塗装もシール張りも同じように、一級技能士を持つ専門の職人が担当しています。
塗装業者が勝手に行う【増し打ち工法】には注意しましょう!
シール工事で注意しなければいけないのは「シール材の打ち変えを行います」といって【増し打ち工法】を勝手に行う塗装業者です。
【増し打ち工法】とは、 既存のシーリングの上から新しいシーリングを打つことで、ブリッジ工法とも呼ばれています。
これは通常、シーリングがあまりひび割れしていなかったり、傷んでいない場合に行われることが多いのですが、実はこの【増し打ち工法】、 塗装屋が勝手に「増し打ち」という単語をつくり、シール工事の手間を省くために、シール材の割れた部分を取り替えることなく、そのまま新たなシール材を上からかぶせるだけの工法なのです。
この増し打ち工法は、歯医者さんでの治療に例えると、虫歯を治療せずに銀歯をかぶせているようなもの。表面はきれいですが、中では虫歯がどんどん進行してしまっている状態と同じです。
これは塗装業界の悪しき習慣として、大変恥ずべきものです。塗装のプロとして、このような行いは許されることではありません。
もちろん弊社(塗装のウィング)では、そうした「増し打ち」を行ったことは一度もありません!
もし業者から 「増し打ち」という言葉が出た場合はお気をつけください。
サッシまわりも手抜きしやすいところなので注意
サッシまわりについても同じように注意が必要です。
「サッシまわりのシールを触ると余計に雨漏りをする可能性があるので、かぶせておくだけにしますね」等と塗装業者が言ってきたら注意が必要です。
実は、サッシまわりのシールの打ち変え作業を行わない業者が実に多いのです。
サッシまわりの打ち変えは作業がとても難しく、シールを取る作業が大変手間なので、そのままコーキングをかぶせられてしまうケースがほとんどです。
しかし多くのケースで雨漏りの順番として考えられる要因は、①屋根、②ベランダ、③サッシまわり。サッシ自体が割れていたり、サッシまわりのシール工事がしっかりと行われていないと雨漏りの原因にもなりかねませんので、特に注意しておきましょう。。
これももちろん、塗装のウィングではサッシまわりもすべてシールの打ち替えを行います。
外壁がモルタルの場合の下地処理【補修作業】のポイント
外壁がモルタルの場合も、作業は専門業者が行わなければいけません。
まず、目地がある外壁の場合は、ひび割れが起きているケースが多いのでコーキング材で下地処理します。
モルタルの外壁で多い、ヘアークラックといわれる「髪の毛のように小さなひび」に関しては、基本的に下地調整剤できれいに埋めることができます。
また、モルタルに関してもやはり最もひび割れが多い箇所が、サッシまわりです。家の構造上、サッシは後付けがほとんどなのでどうしてももろく、腐食が進む箇所です。
雨漏り防止のためにも、サイディングボードと同様、塗装前にしっかりとした補修処理を行う必要があります。
この時、モルタルの外壁自体をサンダーで削り、Vカット処理やUカット処理を行ない、下地をつくり、まわりの壁に合うように修正していくといった専門の知識と腕が必要となるケースもあるため、やはり専門の職人の腕や感性にお任せして行うのが適切です。
さいごに
塗装作業を行うにあたり、しっかりと下地処理を行うことで、塗料の耐久性も向上し、塗料の性能がしっかりと発揮されるという事で、近年では下地処理を丁寧に行う事が塗装業者に求められる様になってきました。
塗料のメーカーさんとの間でよく話題になるのですが、トップでどんなに質の高い塗料を使っても、下地塗りの作業をきちんとしなければ、質の高いトップの良さが全く活かされず、耐久年数も短くなってしまいます。
塗装の下処理は、女性のお化粧の下地の大切さと似ています。ベースメイクをきちんと行わなければ、どんなに高級な化粧品を使っても良さが発揮されず、水の泡になってうのと同じで、塗装においても、素人とプロとの違いが現れるのはそこなのです。
私も経験と知識を積みながら、これまで仕事をしてきましたが、とにかく素材に合った下処理をしてあげないと、結果的に後から不具合が起きてしまいます。
塗装工事後の家全体の価値を左右する質の高い塗装を求める場合は、やはりきちんと知識があり、経験を積んだ職人が役割ごとに作業をするのが一番大事であると考えます。
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